現役世代

第94回選抜高校野球大会 1回戦・星稜戦

選抜の星稜戦について、気持ちと写真の整理がついたので大変遅ればせながら更新します。

雨天順延と試合開始時間の変更を経て、3/22(火)、選抜初戦となる1回戦・星稜戦が行われました。
結果はご存知の通り、4−5と惜しくも敗戦。強敵相手に悔しい負けではありましたが、随所に見られた”繋”の野球と終盤の粘りと底力。天理らしさ、112代らしさが発揮された好ゲームでした。改めまして両校本当にお疲れ様でした!

今回はその星稜戦を振り返りつつ、ここに記録を残したいと思います。

試合について

星稜(石川)
000 100 010 12-5
000 000 020 11-4
天理(奈良)
(星)マーガード、武内-佐々木
(天)南澤-山村
※延長11回

天理南澤、星稜マーガード、両エース先発で開戦。両投手とも上々の立ち上がりで序盤3回までを抑える。南澤の長身からのスリークォーター、マーガードのカットボール、球速はさほどないもの両投手とも独特なボールで相手打線を抑えた。

先制得点は星稜。4回表、2塁打で出塁の5番角谷をバントで送り1死3塁、7番津澤のレフト犠牲フライで1点を先制した。対する天理も4回表、2死から3番戸井の右中間2塁打などで1、3塁のチャンスを作るも後続続かず無得点。
前半5回終了までで0−1と星稜リード。しかしその1点も犠牲フライで、ヒットは星稜4本に天理2本と、がっぷり四つの展開で試合を折り返した。

6回7回は両チーム無得点。6回星稜のスクイズを防いで守り切るなど、中盤も守り合いは続いた。ヒットの数や塁を賑わせる頻度など、星稜がやや押し気味で試合は進んだ。

次の1点も星稜に。8回表一死からファーストゴロエラーのランナーを2塁に置き、3番斉賀が左中間にタイムリーツーベースヒットで1点。あっという間の攻撃で重々しくなりつつあった試合の追加点が入る。しかしその後迎えた4番、5番は打ち取り、追加点は最小限に凌いで裏の攻撃を迎えた。ゲームはここから大きく動き出す。

8回裏、ここまでほぼ完璧に抑えられてきた天理は7番川端のところで背番号3、秋ファーストのレギュラーとして出場をしていた原を代打に送り出す。原が四球を選び無死1塁、続く8番南澤の送りバントを星稜の捕手佐々木が悪送球し、天理が一気に無死2、3塁のチャンスを迎えた。ここで迎えた9番重舛が右中間への2点タイムリーツーベース、天理が一打でたちまち同点に追いついた。ここまで押さえられていたマーガードから、久しぶりに捉えた打球が飛んだ。なおも無死2塁という所で、星稜はエースのマーガードに変えて背番号10の2年生武内を登板させた。マーガードは爪を負傷するアクシデントであった。

天理は勝ち越しの絶好のチャンスを迎えていたが、変わった武内から、1番藤森レフトフライ、2番永井三振で二死。ここで天理頼みの3番戸井、4番内藤を迎えるという所だったが、星稜にもデータはあったか。3番戸井を申告敬遠とし、4番内藤も厳しいボールを投げ続け結局四球。中軸を歩かせ二死満塁とした。ここは星稜の判断が絶妙、この日タイミングの合っていなかった5番大城から四つ目の三振を奪い絶体絶命のピンチを凌いだ。天理はこの日初めて試合の流れたきたかに見えたが勝ち越すには至らず。一打出れば試合を決めるかという場面同点止まりとなり、試合は最終回の攻防に入ったが、9回裏表は両チーム無得点となり、試合はこの大会早くも5試合目となる延長戦に突入した。

延長10回表の星稜は9番武内から。変わっていきなりの打席だったが南澤の甘く入ったボールをレフトに弾き返す。そして再三の攻守を見せた天理のレフト永井がこの打球を後逸してしまい、武内は一気に3塁まで進んだ。無死3塁、今度は星稜にチャンスが訪れた。続く星稜1番永井は捉えるもセカンド正面のセカンドライナー。一死となった後2番垣淵がセンターへ打ち返し犠牲フライ。星稜が1点を勝ち越した。記録には残らなかったが打球処理のミスから勝ち越しを許す形になった。

続く延長10回裏の天理は先頭9番重舛がライトフライで一死。1番藤森はファーストへの内野安打でしぶとく出塁し、2番永井のところですかさず盗塁。またしても天理がチャンスを迎えた。2番永井は三振で二死となり、星稜も後アウト一つというところまで追い込んだが、3番戸井四球のあと、4番内藤が甘い内側の変化球を逃さずレフト前へ。2塁ランナー藤森が一気にホームを陥れ同点。またしても天理が土壇場で追いついた。尚も二死1、3塁とサヨナラのチャンスだったが5番大城はファーストゴロで得点ならず。しかし勝ち越されては追いつく天理の底力。ナイター照明の下独特な圧力を生む伝統の応援「ワッショイ」。試合は分からなくなった。

11回表、星稜は一死となってから6番代打の松田が左中間を破るツーベースヒット。7番津澤もライト前ヒットで続き、その後盗塁もあり一死2、3塁とまたしても勝ち越しのチャンスを掴んだ。続く8番佐々木のところで星稜はスクイズを敢行、しかし天理が守り切り失敗、天理は大きなピンチにも後アウト一つで凌げるかというところまできた。しかし星稜は果敢に攻めた。二死1、3塁となったところで1塁ランナー佐々木がスタートを切る。南澤は1塁に牽制を投じるが3塁ランナーもスタート。ここでファースト原がランナーを牽制しつつ3塁に送球するが、このボールが大きく逸れる。3塁ランナー生還、ボールがカメラマン席前まで行く間に1塁ランナーまでも生還し星稜が2点勝ち越し、5−3。流れが来かけていただけに防ぎたかった天理に若干の動揺が生まれたか。この最終盤でエラーによって2者を生還させるというあまりに痛いミス。重い2点が入り11回裏天理の攻撃を迎えた。

しかし天理もただでは終わらない。11回裏、先頭6番山村が死球、7番代打中村が四球で出塁。さらに8番南澤が送りバントを決め一死2、3と同点のチャンスを作った。9番重舛三振で二死となった後、1番藤森の時に武内が投じた2塁牽制球が悪送球。これで3塁ランナーが還り5−4、こちらもミスの間に得点し、天理が1点差まで詰め寄る。1番藤森は四球で二死1、3塁。同点のランナーを3塁に置き1塁ランナーまで帰ればサヨナラという場面。しかし2番代打大川は3球目を打ち上げピッチャーフライ。風で打球が煽られる中武内がキャッチし試合終了。あと一本というところまで追い上げるも届かず、5−4で星稜の勝利。

中盤夏の甲子園のような西陽が差す場面もあり、終盤はナイター点灯の中での延長戦。試合も2度の同点劇など終盤まで持つれ、名門校同士の一戦は記録にも記憶に残る名勝負となった。

最後に(筆者所感)

共に戦力・実力拮抗のチーム同士ですので、勝負の分かれ目があるなら守備かなと思っていましたが、近畿大会で再三の攻守を見せた天理側に要所でミスが出るとは。エラーやミスが悉く相手の得点に結びついてしまった点は悔やまれました。またマーガード君の変化球はやはり厄介で天理打線に立ちはだかりました。中村監督が試合後のインタビューで完封負けを覚悟したとも仰るように、あまり見たことがないような軌道・変化のボールの前に星稜投手陣を捉え切ることができず、持ち味の強打は封じられました。ヒットが出なくても積極的に動き天理守備の乱れを誘い出した果敢な攻め、同点に追いつかれてからの継投など、粘られてもリードを許さなかった星稜の野球は一枚上手だったように思います。強かった。

しかしそれだけ好投手に苦しんでも、終盤8回に一打で同点に追いつくしぶとさ、その後9回に許したリードも直後に追いつく粘り、2点リードを許した11回裏も1点差まで追い上げるなど、リードされては追いつく粘り強さはまさしく天理伝統の”底力”。最後まで相手を苦しめ、その裏にはチームの合言葉”繋”の気持ちがあったからではないかと思います、残念ながら試合には敗れましたが、チームの持ち味は発揮されたように思います。天理も星稜も見せ場が多く拮抗した勝負、ナイターゲームにアルプスの吹奏楽復活と、印象的・感動的な場面の多い試合でした。ただやはり負けは悔しい。。

今月から春季大会も始まり、これから最後の夏に向けての戦いは始まります。選抜のこの悔しい敗戦にも前を向き成長を続けるチームを、これからも応援させて頂きたいと思います。
この敗戦をバネにして必ずまた夏、この甲子園に戻ってきてほしいと思います。まずは選抜大会、本当にお疲れ様でした!!

試合写真(2022年3月22日 阪神甲子園球場にて撮影)

ABOUT ME
kosuke@天理野球部応援
新潟出身東京在住。2004年〜天理高校ファン。高校野球は地元新潟県勢と天理高校を応援してます。生きてるうちに天理高校と新潟県勢の全国制覇が見たい!