昨日選抜大会の組み合わせ抽選が行われ、天理高校の初戦は大会3日目第2試合、山梨学院(山梨)との対戦が決定!
2022年夏甲子園初戦の再来となるこのカード、天理・山梨学院の両校について、秋季大会の戦績と初戦の見どころを書いていきます。
両校の秋季大会戦績
天理(3年ぶり27回目)
奈良1位/近畿ベスト4 8試合7勝1敗
■秋季奈良大会
2回戦 18-0奈良高専(5c)
3回戦 10-0法隆寺国際(5c)
準々決勝11-0大和広陵(6c)
準決勝 7-2智辯学園
決勝 11-1奈良
■秋季近畿大会
1回戦 5-1和歌山東
準々決勝4-1滋賀短大附
準決勝 3-11東洋大姫路(7c)
■データ
打率 .362(235-85)
69得点 16失点(1試合平均 8.6得点/2.0失点)
本塁打4 防御率2.53 盗塁13 失策4
主将の永末・赤埴をはじめとし下級生時から公式戦を経験するメンバーを多数そろえ投打に軸、2024年1月から指揮を執る藤原監督のもと、新基準バットに適応した着実堅実な野球で奈良大会・近畿大会を勝ち上がった。
奈良大会をチーム打率4割以上、総失点3と圧倒的な勝ち上がりで制し近畿大会へ。ハイレベルな投手との対戦が多かった近畿大会では少ないヒットでも着実に走者を進めて得点を重ね、投げては下坊ー伊藤の必勝パターンでベスト4進出。
チーム打率.363と出場校中でも上位の記録であるが、近畿大会で見せたヒットは少なくとも走者を進め、タイムリーだけでなく犠打飛やゴロで着実に得点に結びつける攻めが持ち味。不動のトップバッター赤埴が打線に着火、単打も長打も期待できる2番永末とパワーヒッターの4番冨田・5番伊藤がキーマン。周りを固める吉田・下坊らの打者も器用な打撃と俊足でチャンスを広げ下位から1番2番での得点パターンも。どの打者も特に走者を抱える場面では徹底した逆方向への打撃でチャンスを作り得点をものにする。投手はともに右の下坊・伊藤の二本柱。下坊は直球変化球ともにキレ、伊藤は球の力で打者を押さえる。他にも秋はクローザーの役割を果たした速球派右腕の酒井、冬に下手投げを習得の右腕松村、二年生で貴重な左腕の橋本らが控えポイントでの登板もあり得る。「守り勝つ野球」を目指す藤原監督が臨む初めての甲子園、確かな力と技術を持つ選手達とその采配で目標の日本一へ、甲子園を一戦一戦着実に戦っていく。
山梨学院(4年連続8回目)
山梨1位/関東ベスト8 7試合6勝1敗
■秋季山梨大会
1回戦 4-0日本航空
2回戦 13-0白根
準々決勝4-2甲府工
準決勝 6-2駿台甲府
決勝 5-0帝京三
■秋季関東大会
1回戦 6-5東海大相模
準々決勝2-5千葉黎明
■データ
打率 .308(195-60)
40得点 14失点(1試合平均 5.7得点/2.0失点)
本塁打1 防御率1.56 盗塁14 失策6
2022年から4年連続の選抜出場。選手らの公式戦経験も豊富で昨年選抜ベスト8経験メンバーが7人残り、豊富な投手陣と自信を持つ堅守で粘り強く昨秋を勝ち上がった。山梨県大会を無失策で優勝し関東大会へ出場、関東大会初戦では前年夏甲子園ベスト8で大会優勝候補の東海大相模を6投手の継投と終盤の逆転劇で制した。準々決勝で千葉黎明に敗れるも攻守のポテンシャルの高さを評価され関東最終枠で選出。
昨秋7投手が登板した投手力の高さは出色で、中でも注目は194cm最速146km右腕のエース菰田。関東大会2試合先発の1年生右腕藤田は球の伸びで打者を打ち取る。スケール大きく長身から投げ下ろす直球の力が光る。関東大会2試合先発の1年生右腕藤田は球の伸びで打者を打ち取り、昨年選抜で3試合に先発した左腕津島は秋不調も実力経験は十分の技巧派。その他速球派右腕の大友・右サイドの坂東らも控え、チーム防御率は1.56と安定。充実の投手陣で相手の目先を変え打撃をさせない。
打線はチーム打率.308ながら力ある打者が揃う。昨年4番を打った梅村をはじめ横山、平野、万場ら前チームからのレギュラー陣が牽引する。ここになんでもできるリードオフマン鳴海、昨秋大ブレイクの宮川らが加わり打線に厚み。関東大会初戦では東海大相模のプロ注目右腕福田に12安打を浴びせ勝利を掴んだ。データ以上に力のある打線で宮川横山の3・4番と主将梅村がキーマン。
4年連続で選抜の舞台を掴み、2023年は優勝、2024年はベスト8と結果を残し今や甲子園上位常連。しかし関東大会8強で臨む今選抜を吉田監督は「チャレンジャーとして戦う」。監督・選手とも経験実力充分に、目の前の一戦に全力を注ぐ。
試合の見どころと展望
守り勝つ野球を信条とする天理、守備に自信を持つ山梨学院。データ上は打は天理、投は山梨学院に分があると見えるが、総合力互角の拮抗した好勝負が予想される。
天理は近畿大会見せた少ないヒットでも着実に進塁得点し、下坊伊藤のパターンで打たせて抑える形が理想形。強力山梨学院投手陣を相手にしても掴んだランナーを大切に進めてチャンスを作り流れを作っていきたい。投げては”キレ”の下坊が試合を作り”力”の伊藤でクローズが理想。酒井・松村・橋本のポイント投入もピンチ脱出に重要となる。投手の制球と守備が乱れることだけは避けたい。攻撃面は昨秋近畿大会のような「自分たちの攻撃の形」を展開できるか。キーマンや役者はいるもののどこからでも得点を生める点は強みであり、そこにおいて藤原監督仕込みの徹底した逆方向と転がしが鍵となる。
山梨学院は投手枚数が多い分ビックイニングを許す前に目先を変える投入をしたい。投手は試合の立ち上がりが重要となり場合によってはすぐ投手交代の選択も。こちらも同じく守りの乱れは致命的となる。昨秋何度も固め打ちを見せた打線の集中力と積極性が強みで打たされる形になることだけは避けたい。複数投手で最小失点に抑えつつ打線が積極果敢にスイングをかけ、じわじわ点差を広げ競り勝った昨秋東海大相模戦のような戦いが勝機か。
甲子園初采配も天理大で11度のリーグ優勝を経験した天理藤原監督、清峰時代とあわせて選抜二度の優勝経験を持つ山梨学院吉田監督、両監督の采配と読み合いにも注目。
両チームの守りと粘りがぶつかり合い、長打連発は考えにくいが得点力は共に高い。数少ないチャンスをものにし5点以内の勝負・2点差以内の接戦が予想される。
その他両校について
・両校とも選抜優勝経験校。天理は1997年に、山梨学院は2023年にそれぞれ初優勝を果たした。
・両校は2022年夏甲子園1回戦で対戦、天理が2-1で山梨学院に勝利した。4番戸井(現阪神)の3安打1打点、エース南澤の1失点完投の活躍が光った。ちなみにその時は1塁側に天理・3塁側に山梨学院と今回とは逆のベンチであった。
・天理が前回出場の2022年選抜大会も両校は揃って出場したが共に初戦で延長戦の末敗退。
・山梨学院はベスト8進出した昨年選抜と同じ「大会3日目第2試合」の組み合わせ。吉田監督は「入り方も昨年と同じで理想的な日程」とのコメント。天理も「第二試合」という点は前回出場時と同じで、藤原監督・永末主将ともに望んでいた比較的気温の高い第2試合で初戦を迎えることとなった。