7/28の決勝戦を持って終了した第104回選手権奈良大会。今大会シード校として臨んだ天理高校、戦い抜いた計5試合の通算成績をまとめます
第104回全国高校野球選手権奈良大会 勝ち上がり
2回戦 9−0関西中央(7c)
3回戦 10-1郡山(7c)
準々決勝9-2奈良北(8c)
準決勝 7-0高田商業(7c)
決勝 21-0生駒
5試合合計 56得点/3失点
※1試合平均 11.2得点/0.6失点
大会通算 投手・打撃成績
5試合でチーム打率.393、3失点。2回戦から準決勝までを全てコールド勝ち、決勝戦も5回までで10点差以上を付けた実質”全試合コールド”の圧倒的な勝ち上がりで夏の奈良大会を制覇。しかしここに至るまでにはメンバーのテコ入れと1年生選手の台頭、エースの怪我克服、春季大会後どん底だった打線の復調といった幾多の困難と変革を乗り越えてきた。
新チーム当初から注目されていた3番戸井、4番内藤の中軸が各校から厳しくマークされる中その他の打者が軒並み高打率を記録。日替わりに活躍を見せ文字通り勝ち星を繋いだ。
1番の藤森はチームトップの打率.556、7四死球を選び6割を超える出塁率で打線を牽引、塁に出ては発揮する機動力で幾多の得点圏を作り出した。5番打者は試合毎に入れ替わったが、初戦と決勝で5番に座った大城が2本塁打8打点と持ち前の強打を発揮、春以降苦しんだ鬱憤を見事晴らした。捕手の山村は中軸にも下位にも入るが扇の要を全うしながら安定した打撃でチャンスメイクも決定打も。入れ替わりで外野のポジションに入った永井・重舛は共に打率3割強以上、パンチ力ある打撃で出場すれば打って塁を賑わせた。この他にも3回戦で代打出場した2年生赤埴がいきなりホームランを放つなど、出場した野手が満遍なく打ったことで高い得点力を発揮した。
また春季大会でデビューし台頭した1年生選手がこの夏も躍動。特筆は2番ファーストの松本。5試合全試合に先発出場し21打数10安打12打点2本塁打の大活躍、要所で打点を叩き出し甲子園出場を大きく引き寄せた。これらに触発されてか準々決勝、準決勝と無安打だった戸井、内藤が決勝はヒットを量産。今年の天理はやはりこの二人を無しには語れない。苦しんだ中軸に一本も出てさらに怖さを増した繋ぎの打線で甲子園に乗り込む。
投手陣は選抜後は数多くの投手が実践経験を積んだが、夏は復活したエース南澤が大車輪の活躍。選抜後に肘の痛みから春季大会のベンチを外れ、6月から徐々に登板を増やす形で夏に照準を合わせてきた。迎えたこの夏は初戦からエンジン全開。投げられなかった間のトレーニングの甲斐もあり直球の力、キレが向上。リズム良く打たせて取るだけでなく三振を奪う場面も増えた。全試合に登板し27回2/3で無失点と圧巻の投球でチームを勝利に導いた。このエースに次ぐのが2年生の左腕中川と右腕嶋川。中川は前年秋季大会後から登板経験を積む貴重な左腕。キレのある直球と落ちる変化球を持ち味に先発もリリーフもこなす。嶋川は前年秋から公式戦のマウンドを経験しており春以降はさらに安定感を増した。決勝で夏初マウンドとなった3年生右腕北田は南澤不在の春季大会でエースナンバーを背負った投手。重く力のある球質で打者をねじ伏せる。守備は堅く夏5試合で1失策。やや流動的だったファースト、ライトの位置も定まり、選抜で痛いミスが出てしまった守備面は特に安定したと言って良い。守備からリズムを作ると主将戸井が語る堅守で攻撃に流れを繋ぐ。
選抜は3年連続出場ながら夏の選手権出場は5年ぶり。前回出場の夏は全国ベスト4。選抜後様々な苦難を乗り越え、投攻守に厚みを増した充実の戦力で、春の忘れ物そして前回以上の成績・日本一を目指す。
プレーと精神面の双方でこの夏一層逞しくなった112代。5年ぶりと意外にも厚くなっていた選手権への壁をようやく取り去った、この夏の彼らの活躍に期待です!