令和6年度春季近畿地区高校野球大会奈良県予選
勝ち上がり
2回戦 6-1法隆寺国際
3回戦 15-2高田商業(7c)
準々決勝8-2智辯学園
準決勝 8-1郡山(8c)
決勝 18-6橿原
5試合合計 55得点/12失点
※1試合平均 11.0得点/2.4失点
大会通算 投手・打撃成績
昨年秋準々決勝敗退から約半年、年始から藤原新監督指揮のもと天理114代の”リスタート”となった今春。甲子園経験者を擁しながらも選抜を逃した悔しさを胸に、ライバル校を次々と破り見事13年ぶりとなる春季奈良大会優勝を果たした。
松本、大谷という一昨年夏甲子園経験者たちを中心としながらも、今春頭角を現した選手やレギュラーの大半を占める2年生選手、そして藤原監督野球がかみ合った新基準バット導入の環境変化も苦にせず勝ち上がった。初戦2回戦で昨夏バッテリーが残る法隆寺国際を破ると、3回戦では昨夏準決勝で敗れた高田商業を3ホーマー15得点で圧倒。準々決勝で早くも相対した智辯学園の試合では投打がかみ合い快勝、勢いそのままに準決勝郡山、決勝橿原と粘る相手を振り切り13年ぶり24回目の優勝。久しぶりの春季近畿大会出場を決めた。
全5試合で二桁安打を記録しチーム打率.382、防御率1.70。特筆は犠打、盗塁やエンドランの数で、犠打飛は昨年や一昨年の奈良県大会通算と比較しても倍近く増加、犠打だけで見ればそれ以上であった。また打たせるだけでなくランナーを動かす場面も多く、緻密な藤原監督の采配とそれにこたえる力ある選手のかみ合いが今大会で見えつつある。着実にランナーを進め基本に忠実な打撃でチャンスをものにする、新監督となった最初の大会で自分たちの野球を展開、”新生天理野球”で並み居るライバルたちを退け見事頂点に立った。
<野手>
レギュラーの過半数を2年生が占めるというオーダーで勝ち上がった。2番赤埴がチームトップの10安打、3番永末はチームトップの10打点を記録。新基準バットの影響など感じさせない打撃で勢いをもたらした。正捕手豊田は今春公式戦デビューにもかかわらず全5試合スタメンマスクで5投手をリード、打撃でも.471と結果を残した。下位打線に座った冨田、伊藤も持ち前の長打力を発揮し、3回戦高田商業戦では二人で3本塁打を記録。
しかし3年生の松本と大谷、1年春から公式戦を経験する彼らをなくしてこのチームは語れない。主将として4番に座り続けた松本は長打力に加え勝負強い打撃で9安打9打点。決勝初回の緊張を破る先制タイムリー、そして智辯学園戦1点ビハインドの場面で一気に逆転のチャンスを作り出した一打など、得点のみならずチームに流れと勢いをもたらす打撃で牽引。大谷は大会中盤当たりが止まりながらも、粘り強く起用した藤原監督に応えるかのように決勝で打棒爆発。これまでの鬱憤を晴らすかのように3点本塁打2本と息を吹き返した。また今春初めて背番号を掴んだ藤澤は1番左翼で全試合安打、新生切り込み隊長として打線を牽引。他にも1年春にデビューを果たした藤原、準決勝いきなり猛打賞の岡田、攻守にポテンシャル高い川村、秋は正捕手の永野らが控え夏に向けて鎬を削る。
経験十分の3年生と今春一桁背番号を勝ちとった2年生がかみ合い、力を存分に発揮し強力打線を形成。新基準バット導入による飛距離低下も叫ばれる中でチーム打率.382、5本塁打と変わらぬ強打を見せた。
<投手>
安定感抜群の麻田と木ノ下の両左腕。鍵本、下坊、松村の右腕3人という5投手を使い分けて勝ち上がった。エース麻田は初戦法隆寺国際、決勝橿原と2試合のみの当番ながら安定感抜群の投球で相手に流れを渡さない。木ノ下は直球変化球とも抜群の切れ、そして強心臓の投球で高田商業、郡山と難敵を押さえた。これら投手をそれぞれ2試合ずつの登板に抑えることが叶ったのは2年生右腕の活躍。今春投手としてベールを脱いだ下坊は公式戦初先発となった準々決勝智辯学園戦で5安打2失点完投勝利。鍵本、松村はリリーフ登板で試合を締め今大会無失点。誰か一人の投手に頼りすぎることなく5人の投手で試合を勝ち繋いだ今大会の経験は大きく、夏に向け投手陣の層の厚さ、成熟具合を感じさせた。
主将松本を中心に、近畿大会の頂点を目指して戦う今春。その意気込み通り13年ぶりに春季大会を制覇し春の近畿大会への扉をこじ開けた。並み居る近畿の強豪校たちにも自分たちの野球を展開し頂点を極めたい。ここまで来たら夏まで無敗で、一戦必勝で頑張ってほしいです!